着席し、周りを見渡してみる。知った顔はいないが、皆、いい顔に見えた。

と、突然先程の田舎のプレスリーがテーブルに近ずいて来るではないか。しかも、手にはマイクを持っている。

ひょっとして?と思う間もなく彼は「You Were Always On My Mind」を歌い出した。

なんとも表現に窮するアトラクションである。

マイクが司会者に手渡され、ほっとした。シートno.1から名前とチップ量が紹介される。

私は3番目だ。「AKI WELLSTONE! Tokyo Japan」。思わず両こぶしを突き上げた。

全員の紹介が終わり、ディーラーがカードを配り始めたその時、「あれ」が突然やって来た。

「まさか!」自分でも全く予想しなかったことが起きたのだ。

足のつま先から膝を通って腰まで「それ」は這い上がって来た。「来るな!そこで止まれ!」・・・無駄だった。

手の先まで「震え」が止まらない。これは武者ぶるいではない。どうすれば、止まるんだ!

数ゲーム目に「A・K」が来て、「それ」は止まった。「オールイン」小さく叫んだ。全員が降りたことより、「それ」が消えた

ことで気持ちが落ち着いた。手前の2人の手もかすかに震えているのが、カードをマックする際、伺い知れた。

50過ぎの親爺達がこの有様である。意外であったが、笑ってしまった。

1〜2時間して、思い出となる「ハイライト」がやって来た。

ボタン手前が鬼レイズ、ボタンはオールインして来た。さて、私のハンドは?

私は「オール・イン」

手前はダウンした。スモールは優勝したギブスだったが当然のように降りた。

ハンドがオープンされる。ボタンのハンドは「K・K」である。

「う〜ん!これは、これは!」

「2日間の格闘の結末としては、最高ではないか!」

私の最初で最後の「A・A」と、ボタンの「K・K」が激しく、ぶつかった。

自然とボタンの紳士と顔を見合わせた。お互い、笑顔だ。

何故か、彼とは何処かのポーカー・ルームでプレイした様な錯覚を覚えた。ディーラーが静かにカードを開く。

リバーが開くと同時に彼は握手を求めてきた。彼の笑顔は今でも忘れない。

「もう、これでいい!」ディーラーが掻き集めてくれたチップを見ながら、呟いた。

「来て良かった」私と彼だけかも知れないが、「同じ思い出」を分ち合えたことに感謝したい。

この後の顛末はもう皆さんはご存知であろう。

延々と20時間以上の耐久レース、私の「シニア・ノーリミット・ホールデム」はこうして終わった。

結果として残念なのか?満足なのか?

今の心境はどちらでもない。

言えることは、全て「納得」出来たということ。そして、これからもポーカーしたいと実感していることである。

そして、最後に一言、「そう、次は貴方の出番だ!」

「Good Luck!」